俳句について その5
俳句に限らず、全ての「言葉の文芸」に共通して必要なものは、
「感性」と「表現技術」です。
「感性」は他人に学ぶものではありません。
自分だけが先天的に、後天的に身に着けて持っている独自の「感覚」です。
誰にも学ばずに、自分の中から湧き上がってくる自然水みたいなものです。
誰かと似ているとか、誰かと共感できる、響き合えるということは、もちろん
ありますが、誰かの真似をしても、所詮それは自分のものにはなりません。
「表現技術」には「理論・理屈」があります。
誰にでも共通して納得・理解できるものです。
これは大いに先人に、他人に学ぶべきです。
俳句を始めるとき「先ずは歳時記・季語集を買ってきて季語から学べ」という
人がいますが、私はそんなことはしませんでした。
季語を使いこなす、季語に拘るのは、「表現技術」があるレベルに
達してからで十分です。
初めは季語などない五七五の「リズム詩」で全くかまいません。
俳句は自分だけが、わかっていてもだめなのです。
自分の意思・思いが他人に伝わってこそ価値があるのです。
他人に思いを伝えるためには、他人に伝わるように、しかもそれを
インパクトをもって伝わるように、書かなければなりません。
そのためには、自分がこの句を詠む立場の他人になってみる、
すなわち「客観的視点」が最も大切なのです。
それがまず俳句をものにする基本中の基本です。